資金調達:出資・融資・助成金

2014年07月29日 20:27

誰しも新たにビジネスを始める際は、

・設備や敷金等の「初期費用」がどれくらいかかるか

・給料・家賃等の「固定費」は月々いくらか

・サービスインまでにどれくらいの「期間・人員・外注費」がかかるか

・顧客からの売上は「いつ・いくら」計上できるか

・売上が上がって利益が出るまでに「どれくらいの期間とお金」が必要か

といったことを考えると思います。

 

市場環境や類似業種との比較、自社サービスの競合優位性等を判断し計画を立て、実行する為に必要な資金を準備し、自身で「イケル!」と判断してビジネスをスタートさせたはず。です。が。「計画通り」に全て進むなんて、、、ないですよねぇ。

開発が遅れてサービスインできない!思った以上に初期費用がかかった。あれ。売上が少ない。やだ。このままだと数ヶ月後に資金ショート?え。なんでこんな時に住民税の納付書届くの。貯金使っちゃったし今年収入ないのに払えない。。。うぅううぅぅ。

もちろんそうならないために余裕をもった計画を立てたはずなのですがやってみてわかることが新規事業には山ほどありますので計画通りにはいかないものです。

準備した資金で足りない場合はなんとかして調達しなければなりません。事業を進めながら資金調達をするのはしんどいものです。

会社設立後の資金調達

会社「設立時(設立前)」には低金利で融資を受けられたりする制度は結構ありますが、設立後に資金調達をしようとすると条件が厳しくなってきます。設立前なら「事業計画」で判断してもらえますが、設立後だと「厳しい現実(財務諸表)」を見せて判断してもらうことになりますのでお金を出す方も慎重にならざるを得ません。

 

資金調達の方法には「出資を受ける」「融資を受ける」「助成金を受ける」といった方法がありますが、融資や助成金はその目的が「設備投資」となっている場合が多く、機械や器具等の大型設備を要しないインターネットサービス事業の場合そもそも対象外となるケースが多いです。

助成金は設備投資以外に「地域活性化」「海外展開」等が条件となっていたり、申請期間が短いため申請しようと思った時には「受付終了」となっているのがほとんどです。年明けや4月頃が受付期間となっている案件が多いので、この時期(夏)は受け付けてくれるものがほとんどないのが現実です。

そんな中でも特にインターネットサービス事業を営む会社に向いていそうな資金調達の方法をいくつかご紹介したいと思います。

助成金

- 実用化の見込みのある新製品・新技術の自社開発を行う企業に対し研究開発費の一部を助成する「新製品・新技術開発助成事業」助成限度額は1,500万円です。本年度の申請期間は終了してしまっていますが対象となる会社は来年に向けて準備してもいいかもしれません。

- 展示会等への出展が有効とされた企業を対象に出展費用(100万円)やカタログ作成費用(20万円)の2分の3以内を助成する「中小企業経営強化事業」があります。ネット企業は様々なイベントがありますので国内外の展示会出展料の助成はありがたいですよね。4月1日から助成金がなくなるまで受け付けてますのでイベント出展を考えてる企業は要チェックです。

- 人材が必要なビジネスをされている方には「人材対策事業」があります。新卒や育児で一旦職場を離れた主婦等をインターンシップとして事業現場で研修させる場合、日額最大7,000円の支援助成金が受けられます。

融資

- 税務申告を2期終えてない場合、事業計画(ビジネスプラン)等の審査を通じ無担保・無保証人で 1,500万円の融資を受けることができる「新創業融資制度」があります。技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方や雇用創出を伴う事業を始める方が対象となります。利率は事業によって異なり、運転資金の場合7年以内(据置6ヶ月以内)に返済となります。

出資

- 「起業支援ファンド」設立5年未満の創業又は成長初期の段階にある中小企業を対象としたファンドで株式や新株予約権付社債の取得等による資金提供が受けられます。ファンドに対しビジネスモデルを説明する過程は思考の整理にもなります。
- 「中小企業成長支援ファンド」新規事業展開、転業等により新たな成長・発展を目指す中小企業を対象としたファンドでプロジェクトファイナンス型の投融資や株式取得等による資金提供が受けられます。ステップアップを考えている企業に向いています。

それぞれの会計処理

最後に助成金・融資・出資を受けた場合の会計処理について説明したいと思います。
- 助成金:展示費用や人件費等の一部負担や運転資金の助成を受けた場合、基本的に「雑収入」に計上され法人税の課税対象となります。固定資産取得の一部負担は課税の繰延措置がありますがここでは割愛します。
- 融資:将来返済しなければならないお金ですので「借入金」として「負債」に計上します。また支払った利息は「支払利息」として損金となります。
- 出資:新株発行等で出資を受けた場合「資本金・資本準備金」として「資本の部」に計上されます。
 
いずれにしても事業をする上で「資金」は大事です。出資・融資・助成金等ビジネスの内容や規模に合った資金調達を考えていきましょう。また、これらの手続には本業に関係ない知識・時間・コストがかかりますので資金調達したいがためにサービスに支障が出ないようバランスよく取り組んでいきましょう。